おのでらえいこさんの絵
2004年6月21日(月)
清川妙著・おのでらえいこ絵・小学館 1680円
イラストレーターのおのでらえいこさんの絵が好きなので、『うつくしきもの 枕草子』を購入。絵だけ見たかったのだ。
しかし、この本は内容もたいへん楽しく『枕草子』が理解できるよう書かれてあり、なかなか面白い。有名な章段や清少納言の考え方がよくわかる章段がチョイスされ、宮仕え生活・宮中の思い出・うつくしきもの・人生論の4つから構成されている。また、各章段には、かんたんなあらすじとともに、原文が掲載されているが、原文にある漢字すべてに読み仮名がふられ、難しいところには部分訳があるので、いちいち古語辞典などを引っぱりださなくても大丈夫。原文のあとには、著者・清川妙による丁寧で詳しい解説(本書では「紙上授業」という言い方をしている)と、内容に関連したコラムが掲載され、当時の習慣や風俗が理解できるようになっている。なんとも、いたれりつくせりな作りである。
まさか、今ごろになって『枕草子』を読もうなどとは思ってもみなかったけれど(だって難しそうだから)、読んでみると意外な驚きや発見があり学生時代の授業とはぜんぜん違う印象を受ける。
もちろん、おのでらえいこさんの絵もうっとりするほどすてきです。
おのでらさんの本で、私が大好きなものをもう1冊ご紹介。『こどもと囲む団らん食』はいわゆる料理のレシピ本だが、出来上がった料理の写真は1枚もない。すべて、おのでらさんの絵なのだ。しかも、これが写真で見るよりも、きっとずーっと美味しそうに見えるのだ。ホント絵を見ているだけで、ウキウキした気分になれる。
私はおのでらさんとは仕事でお世話になっているので、原画を見せてもらったこともあるのだが、すべてイマジネーションで描いているのだそうだ。もうビックリです! 原画を拝見しながら「美味そーぉ」なんて叫んでしまったくらいだ。
写真の「鯛飯」の絵には、みつばが散らしてあるのだが、レシピでは青ねぎだったか別の青野菜(うろ覚えでスミマセン)を散らすようになっていたのだとか。でも絵がとても良かったので、レシピのほうをみつばに変えたのだというエピソードも聞くことができた。
いま、ノリにのってる売れっ子のおのでらえいこさんは、今後ますます注目の人になっていくのだと思う。
服部幸應著・おのでらえいこ絵・小学館 1680円
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Comments
昨日、箱根湯本「天山湯治郷」に初めて行きました。63歳で一昨年千葉から転居し、富士山駿河湾一望マンションでひとり暮らしです。伊豆では美術館や史跡・神社仏閣等々各所回りましたが、ついに温泉巡りまで?その初トライでした。
そこに「湯治郷の瓦版」が置いてあり、それにおのでらさんのさし絵があり、すごく好きな描き方で昨日から色々探してました。昔からいわさきちひろさんが好きで、ちひろさんの美術館には若かりし頃亡くなった女房とデートしたことも。展覧会などあれば是非行ってみたいのですが。この枕草子や読み返し古事記?なども挿絵を楽しみに読んでみたいと思っています。
Posted by: masse | March 08, 2022 10:46
masseさん、コメントをどうもありがとうございます。
おのでらさんとは、もう長らくご無沙汰をしてしまっております。「湯治郷の瓦版」でさし絵を拝見できるのですね。教えてくださって、ありがとうございます。私も久しぶりに本棚からおのでらさんの本を取り出し、眺めました。本当に美しく、うっとりします。
masseさんがお住まいの富士山や駿河湾が一望できるマンションからの美しい景色も、目に浮かぶようです。そして、その風景を描いたおのでらえいこさんの作品をほんのり想像してみたりして……。私の想像なんぞより、実際は遥かに美しい世界を描かれるはず。そんなことを思うと、本当にホンモノを拝見したくなりますね。
masseさんが、たくさんのおのでらえいこさん作品に出会えますように!
Posted by: 山口わごむ | March 11, 2022 10:41