柿色

子どものころ、洗朱のことを「柿色」と言っていました。「柿色のお皿」などと、母と話していた記憶。幼稚園から小学校低学年くらいの遠い遠い記憶です。その当時、柿モチーフのブローチを持っていて、それがそんな色でした。その柿のブローチはT子ちゃんという近所にお住まいだった少し年上のお姉さんから頂いたもの。
T子ちゃんからは洋服や靴、児童書など、たくさんのお下がりをいただいておりました。とてもステキなものばかりで、本当に嬉しかった。お下がりが嫌だと思ったことなど一度もありませんでした。お引越しされたT子ちゃんのお宅の近所には、超有名芸能人の方のお宅もあり、遊びに伺った際にその超有名人邸の門の前で一緒に並んで写真を撮っちゃったりもした。ところで、今思うと柿のブローチって、なかなかシブいよね。昭和な感じで、今探そうと思っても見つからない気がします。
そんな思い出が脳裏を駆け巡る洗朱のお皿に豆大福のおやつ。私は洗朱よりも、朱の真っ赤っかな塗りがいいなぁと憧れているのですが、古い昭和感が漂うお皿も使わなくちゃとシャターを切りました。母との会話の「柿色」と、T子ちゃんのことを思い出せる良いお皿でもあったなぁと思え、やっぱりちょっと大事にしようかと思いました。いや、でも洗朱のカラーだって悪くはないよ!とも思う。思えてきた。
ところで、大きくなったT子ちゃんは歯科医師とご結婚されお子さんを3人もうけた、というところまでは母から聞いていました。でも母が亡くなってしまい、もうその後は分からない。『みどりのゆび』という本もT子ちゃんからいただいたことを思い出した。もうT子ちゃんとは繋がることはないのでしょうかね。小さいころの思い出。でも、覚えているよ! その節はお世話になりました。どうもありがとう、T子ちゃん。
※実際の「柿色」と「洗朱」は異なる色ですが、個人的な思い出の話としてご理解いただければと存じますです。
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